西川和久の不定期コラム
Ryzen 7 260搭載で高コスパ、OCuLinkも搭載のミニPC「MINISFORUM AI X1」
2025年5月7日 10:28
今回はRyzen 5 225、Ryzen 7 260、Ryzen AI 9 365、メモリ32GB/64GB、そしてベアボーンも選べるミニPC「MINISFORUM AI X1」の登場となる。編集部からRyzen 7 260/32GB/1TBモデルが送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
Ryzen 5 225、Ryzen 7 260、Ryzen AI 9 365、32GB/64GB、ベアボーンを選べるミニPC!
本コラムで3月にRyzen AI 9 HX 370を搭載し、Copilot+ PC認証を取得したミニPC、MINISFORUMの「AI X1 Pro」をご紹介した。
旧Mac mini的なサイズ感で、ミニPCとしては少し大きめだったが、AI対応でかつハイパフォーマンスでなかなか良い1台だった。今回はこの姉妹機に相当する“Pro”がない「AI AX1」となる。
選べるプロセッサはRyzen 5 225、Ryzen 7 260、Ryzen AI 9 365。最上位でもRyzen AI 9 365なので、上記のAI X1 ProのRyzen AI 9 HX 370には敵わない感じだが、その分、価格は下がる。
メモリは32GBまたは64GB、SSDは1TB、Windows 11 Proまたはベアボーンと構成を選べる中、今回手元に届いたのはRyzen 7 260/32GB/1TB。主な仕様は以下の通り。
Minisforum 「AI X1」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Ryzen 7 260(8コア16スレッド、クロック最大 5.1GHz、キャッシュ L2: 4MB、L3: 16MB、TDP 45W/cTDP 35~54W) |
メモリ | 32GB(SO-DIMM/16GB DDR5-5600 2基/最大64GB) |
ストレージ | M.2 2280 SSD 1TB(NVMe対応) 2基(1基空き/OCuLinkと排他) |
OS | Windows 11 Pro(24H2) |
グラフィックス | Radeon 780M Graphics/HDMI 2.1、DisplayPort、Type-C(USB4) ×2 |
ネットワーク | 2.5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4 |
インターフェイス | USB 3.2 Gen 2 2基、USB4 2基、USB 2.0、3.5mmジャック、OCuLink |
サイズ/重量 | 128×128×52mm、653g(実測) |
価格 | 10万1,590円(公式サイトでは5月9日までクーポン「PWX113」利用で1万3,000円引き) |
プロセッサはZen 4アーキテクチャのRyzen 7 260。8コア16スレッド、クロックは最大 5.1GHz。キャッシュ L2: 4MB、L3: 16MB。TDPは45W(cTDP 35~54W)。また最大16 TOPSだがNPUも内包する。
メモリはSO-DIMM DDR5-5600MHz 16GB 2基の計32GB。最大64GBまで対応。なお最上位のRyzen AI 9 365は32GBを選べず64GBのみ。加えてメモリ最大128GBとなる。ストレージは、M.2 2280 SSD 1TB。M.2スロットが2つあるので増設も可能だ。ただしOCuLinkアダプタとの排他なので要注意。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Radeon 780M Graphics。外部出力用にHDMI 2.1、DisplayPort、Type-C(USB4) 2基を装備する(Ryzen AI 9 365は880M)。
OSはWindows 11 Pro。24H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適用し評価した。
ネットワークは、2.5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4。その他のインターフェイスは、USB 3.2 Gen 2 2基、USB4 2基、USB 2.0、3.5mmジャック、OCuLink。このコンパクトな筐体でUSB4 2基とOCuLink対応はなかなか強烈だ。
サイズは128×128×52mm、重量653g(実測)。「AI X1 Pro」が約195×195×42mm(実測)、1,397g(実測)だったので、随分コンパクトなのが分かる。
価格は今回の構成で10万1,590円。Ryzen 7 260の構成限定だが、5月9日まで公式サイトで利用できるクーポン「PWX113」が今回用意されており、適用後は1万3,000円引きにより、メモリ32GB+1TBモデルは8万8,590円、メモリ64GB+1TBモデルは10万2,990円になる。
参考までにRyzen 5 255/32GB/1TBは8万3,990円、Ryzen AI 9 365/64GB/1TBは13万7,590円といった具合だ。
ベアボーンはプロセッサのSKU順で5万9,190円、7万3,590円、9万7,590円。手持ちのパーツがあるならこちらを選ぶのもありだろう。特にRyzen AI 9 365を最大メモリ128GBにしたい場合は、ベアボーンからにしないと選択の余地がない。
筐体はメタリックなシルバー、そしてiPhone 16 Proの比較からも分かるように結構コンパクト。重量が実測で653gと軽く、ACアダプタを合わせても1kgを切るため持ち運びも容易だ。
前面に電源ボタン、USB 3.2 2基、USB4、3.5mm音声入出力。背面に電源入力、2.5Gigabit Ethernet、DisplayPort、OCuLink、USB4、HDMI、USB 2.0を配置。裏面には四隅にネジとゴム脚、下側にVESAマウンタ用のネジ穴がある。
付属品は、ACアダプタ(サイズ約95×65×23mm、重量227g、出力19V/6.32A)、HDMIケーブル、VESAマウンタとネジ、OCuLinkアダプタ。出荷時OCuLinkアダプタは本体に装着されておらず、背面のコネクタ部分はゴムで塞いだ状態になっている。
いつも筆者が使っているキーボード付きモバイルモニターは、USB4があるため、USB Type-Cケーブル1本でOK。BIOSは起動時[DEL]キーで表示するが、まずMainメニューがあり、そこでSetupを選べばBIOS相当が現れる具合だ。
内部へのアクセスは四隅のゴム脚を外す必要はなく、その外側にネジがあるので4本を外すだけでOKだ。ただ、裏蓋にケーブルが2本つながっているので、思いっきり引っ張ったりするとトラブルの元になるので、慎重に行ないたい。
裏蓋側にファンとアンテナケーブルがあり、PC側にはCrucial製のSO-DIMM 2基とM.2 2280が見える。M.2スロットは1つ空き。OCuLinkを使う場合は、この空きのM.2スロットへOCuLinkアダプタを接続することになる(写真は該当箇所に置いただけでネジ止めなどはしていない)。
発熱はベンチマークテストなどCPUに負荷をかけた場合、背面側からそれなりの熱風が放出される。とは言え、少し暖かい程度なので気にすることもないだろう。ノイズに関しては筐体に耳を近づけてもほとんど聞こえず。これなら机の上どこでも設置可能だ。
Ryzen AI 9 HX 370より少し劣るものの、十分ハイパフォーマンス!
初期起動時、特に追加されたアプリや壁紙などはなく、Windows 11 Pro標準のまま。構成が構成なだけにストレスなく動作する。逆にこのコンパクトな筐体でこれなのだから、感心した次第。
M.2 2280 1TB SSDは「CT1000P3PSSD8」。仕様によると、シーケンシャルリード5,000MB/s、シーケンシャルライト3,600MB/s。CrystalDiskMarkのスコアは同等以上が出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約929GBが割り当てられ空き881GB。BitLockerで暗号化されている。
2.5Gigabit Ethernetは「Realtek Gamming 2.5GbE Family Controller」、Wi-Fiは「MediaTek Wi-Fi 7 MT7925」、BluetoothもMediaTek製だ。デバイスマネージャーにNPUの項目も見える。
ベンチマークテストは、「PCMark 10」、「3DMark」、「Cinebench R23」。比較のためにRyzen AI 9 HX 370搭載のAI X1 Proのスコアも併記した。
やはり全体的にRyzen AI 9 HX 370が優っているものの、PCMark 10のグラフィックス関連以外は少しの差だ。iGPUがRadeon 780MかRadeon 890Mかの差で、PCMark 10のグラフィックス関連及び3DMarkは、それなりの差が出ている。
この点が気になるので、あれば最上位のRyzen AI 9 365のiGPUがRadeon 880Mなので(それでも890Mには劣るが)、こちらを選べば良いだろう。ただOCuLinkを使えば、それこそ外部にGeForce RTX 4090などハイエンドGPUを搭載できるので、グラフィックス性能を重視するなら、いっそOCuLink接続をお勧めする。
[Read]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 5197.843 MB/s [ 4957.0 IOPS] < 1611.94 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 2602.282 MB/s [ 2481.7 IOPS] < 402.70 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 447.089 MB/s [ 109152.6 IOPS] < 283.85 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 62.282 MB/s [ 15205.6 IOPS] < 65.64 us>
[Write]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 4749.336 MB/s [ 4529.3 IOPS] < 1761.89 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 3458.725 MB/s [ 3298.5 IOPS] < 302.87 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 492.159 MB/s [ 120156.0 IOPS] < 263.07 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 170.078 MB/s [ 41522.9 IOPS] < 23.99 us>
以上のようにMinisforum 「AI X1」は、Ryzen 5 225、Ryzen 7 260、Ryzen AI 9 365と、3つのプロセッサ、メモリ32GBまたは64GBを選べるミニPCだ。加えてベアボーンキットを選べるのも手持ちのパーツを使いできるだけコストを抑えたい時に嬉しいポイントとなる。
OCuLinkを使った時に、M.2スロットが1つになってしまうのは残念だが、最新のモバイル用Ryzenを使ったミニPCを探しているユーザーにお勧めしたい1台と言えよう。