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新開発クッションなどで大幅改良。イトーキの新作オフィスチェア「Act2」を試してきた

Act2

 イトーキは、新型オフィスチェア「Act2」を6月4日に発売する。直販での価格は11万4,000円から。今回、発売に先駆けて実物を見せていただくことができたので、ご紹介したい。

 Act2は、同社が2018年に発売したオフィスチェア「Act」の後継機にあたる製品。初代で好評だった機能はそのままに、新たなクッション素材「レスピテック」を採用するなど改良を施し、快適性を高めている。

 このレスピテックは、同社が「呼吸する座面」を謳う新素材。大きく2層構造となっていて、上層の感触層には、縦方向に繊維が並んだポリエステル不織布構造体「Fibre Cushion VL」を採用。やわらかでふかふかとしたような素材で、主に座り始めのふんわりとした感触を実現する。

 一方、下層のクッション層には、熱可塑性ポリエステルエラストマー繊維がループ状となった構造体「プレスエアー」を配置。しっかりした弾性を持ち、座った際に身体をしっかり支える。加えてプレスエアーの内部でも、上層が細め、下層が太め、中層がその中間ぐらいと繊維の細さを変えていて、沈み込んでいくにつれて、弾性がより強くなる設計となっている。

 座面素材としてよく用いられるモールドウレタンと比べ、クッション性は維持しながら通気性を確保。長時間座っても蒸れにくくなった。また、弾性体を用いたことで耐久性も高めており、長期間使ってもクッションがへたらないという。各層の素材はリサイクルが可能となっている。

 レスピテックについては、今後採用製品を増やしていくことも見込んでいるとのこと。

レスピテックで使われている素材
座面にもレスピテック(Respitech)のタグが付いている
上下2層構造で作られる
感触層のFibre Cushion VL。縦方向に繊維が並ぶ
クッション層のプレスエアー。上層は繊維が細め
プレスエアーの下層。上層より繊維が太め

 また、腰部分を支える機構には新設計の「ペルヴィス&ランバーサポート」を採用。初代Actのランバーサポートが1点で腰椎を支えていたのに対し、本機では骨盤を支える部分を追加し、2点で腰を支える構造となった。上下の高さ調整もできる。

 これとあわせて、ヘッドサポートを2点可動式で位置調整できるものに変更。リクライニングした状態でも無理せず前を向けるよう、頭を支えられる設計とした。

新設計のペルヴィス&ランバーサポート。2点で腰を支える
初代Actのランバーサポート
ヘッドサポート
初代Actは固定式だった
2点可動式で位置調整ができる

 そのほか、上下左右に自在に動かせ、前後の位置、内向き/外向きの角度調整もできるアームレスト「4Dリンクアーム」、腰部分を包むようなバケットシート形状、座面の奥行きを変えられるスライドシート、肩の動きにあわせて背もたれが左右にしなるピボット構造などは、初代Actから引き続き搭載。背もたれはエラストマーとメッシュ(テクスチャーメッシュまたはプレーンメッシュ)から選べる。

4Dリンクアーム
レバーを引くだけで簡単に動かせる
立体的な形状の座面
座面の前側の長さを変えられるスライドシート
ピボット構造。中央に支柱に可動部分が設けられている
左右に背もたれをひねることができる
エラストマーの背もたれ
メッシュの背もたれ

 実際に座ってみると、2層構造による座面の違和感はなく、高い弾性やバケットシート形状も相まってしっかりと身体を支えてくれる印象。腰や頭のサポート部分も機能して、楽に無理ない姿勢でチェアに身体を預けられる。

 背もたれ部分は、特にエラストマータイプは見た目の印象よりも柔軟性があり、左右のフレームがなくなることも相まって身体にフィットする。しっかり支えられているのに、ピボット構造でゆとりもあり、集中したいときでも、そうでないときでも快適に座れると感じた。

 4Dアームレストやスライドシートなどによって自由度の高い調整ができる点も良好。特にアームレストは、デスク環境によってチェアをもっと近づけたい/離したいといったときに干渉しがちだが、そういった問題もかなり避けられるだろう。

 よく考えられた設計や細かな調整機能など、ユーザーへの気配りがされているオフィスチェアだというのが全体の印象だ。特にデスクワークがメインのユーザーにとって、チェアは長時間使用する機器であり、投資する価値も高い。約11万円からと高価な製品だが、それに見合うだけの快適な作業環境を長きに渡って提供してくれるだろう。

同社のチェアショールーム「ZA SALON TOKYO(坐サロン東京)」にて実際に試すことができる(予約制)

【お詫びと訂正】初出時、製品の価格に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。