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Windows 10からの乗り換えに10万円台のVAIO F14がいいかも。8年前のノートPCと性能比較もしてみる
2025年6月3日 10:00
スペックありきではなく「普通にPCを使いたい人が快適に長く使える定番製品」をコンセプトに開発された14型ノートPC「VAIO F14」は、性能や機能が日常使いにちょうどよい上、価格が比較的リーズナブルなことが特徴。VAIOならではのデザインの良さも相まって高い人気を誇るモデルだ。そのVAIO F14をブラッシュアップしてより完成度を高めた新製品が登場した。
新しいVAIO F14(以下VAIO F14)は、性能や機能が強化されているほか、キーボードの視認性が改善されているなど、使い勝手を左右する細かな部分も見直されている。価格は前世代モデルから少し上がっているが、それでも14万1,800円からと国内メーカーの製品としては非常にリーズナブル。高コスパのノートPCが欲しい人は要注目の1台だ。
VAIO F14は、10月のWindows 10サポート終了が迫る中、Windows 10搭載ノートPCの買い替えを考えている人にも魅力的な製品である。そこで今回は、VAIO F14はWindows 10搭載ノートPCの買い替えに最適なのか、その点も踏まえて細部までチェックしてみた。
デザインの良さや質感の高さはさすが
VAIOの魅力というと、やはり筐体のデザインや質感の高さだ。VAIO F14もデザインがよく質感の高い塗装がなされている。今回、試用したのはサテンシルバーのモデルだが、非常に高級感がある。見た目のよさもノートPCを選ぶ上では重要な要素だ。この点においてはVAIO F14は非常にポイントが高い。
ほかに2色のカラーが用意されている
Windows 10から買い替えるのにちょうどよいスペック
ノートPCを購入する際に気になるのはやはり性能だろう。3Dゲームや高解像度動画の編集を目的とするのでなければハイエンドクラスの性能は必要ないが、長く使うためにはすぐに陳腐化しない程度の性能は欲しいところだ。その点、VAIO F14はまさに絶妙なハードウェア仕様となっている。主なスペックは下表の通り。
VAIO F14(2025年モデル) | |
---|---|
OS | Windows 11 Home |
CPU | Core 7 150U/Core 5 120U/Core 3 100U |
GPU | Intel Graphics |
メモリ | 16GB/32GB(LPDDR5X) |
ストレージ | 512GB/1TB(NVMe M.2 SSD、PCI 4.0 x4) |
ディスプレイ | 14型非光沢液晶(1,920×1,080ドット) |
インターフェイス | USB 3.2 Gen 2 Type-C(USB PD、DisplayPort対応) 2基、USB 3.2 Gen 1 2基、HDMI、Gigabit Ethernet、ステレオミニ(ヘッドセット対応)端子 |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
WAN | なし |
カメラ | 92万画素 |
生体認証 | 指紋/顔(Windows Hello対応) |
バッテリ駆動時間 | 動画再生時 約7.7時間(JEITA3.0)、アイドル時 : 約12.5時間 |
付属品 | USB PD対応ACアダプタ(65W) |
サイズ | 322.9×221.5×19.5~19.7mm |
質量 | 約1.23kg |
カラー | サテンシルバー/サテンゴールド/ネイビーブルー |
価格 | 14万1,800円~ |
CPUは、Intelの最新CPUである「Coreシリーズ(開発コード名 : Raptor Lake Refresh)」。前世代の主力モデルである「第13世代Core iシリーズ(開発コード名 : Raptor Lake)」を強化したもので、オフィスアプリなどを使用するビジネス用途から写真編集、動画編集などの趣味的用途まで、幅広い用途に対応する性能を持つ。
Coreシリーズの上位モデルにAI処理専用のNPU(Neural Processing Unit)を搭載した「Core Ultraシリーズ(開発コード名 : Lunar Lake)」があるが、VAIOによると、現状、NPUは必要ではないとの判断から、低価格かつ十分な性能を持つCoreシリーズを採用したという。
実際、PC上でNPUを使ってAI処理を行なうアプリはまだ少なく重要度は高くない。将来性を考えるならCore Ultraシリーズ搭載製品を選択するという手もあるが、搭載製品は20万円台後半からと非常に高価。先行投資をするには少し予算がかかり過ぎる。しかも現行NPUの性能がすぐに陳腐化しないとは限らない。
普段使いにちょうどよいを目指したVAIO F14がCoreシリーズを搭載したのは正解と言えるだろう。できるだけ予算を抑えたいが、性能も重視したいというユーザーにとっても魅力的な仕様だ。
メモリは、直販モデルでは「8GB」、「16GB」、「32GB」を選択できる。基本的にWindows 11では16GBあれば十分。ただし、動画編集アプリなど使用するアプリによっては16GBでは不足することもあるので、使用環境によっては32GBを選択するとよい。
ストレージはPCI 4.0 x4対応の高速SSDを搭載する。容量は直販モデルでは「256GB」、「512GB」、「1TB」を選択できる。容量は用途で選べばよい。動画などの大容量ファイルを多数保存するのであれば1TBがおすすめだ。
Windows 10ノートからVAIO F14に買い替えると性能が爆上がりする
Windows 10世代のノートPCからVAIO F14に乗り換えると性能がどれくらい向上するのかを検証してみた。使用したWindows 10のノートPCは、第7世代Core i7-7600U、16GBメモリ、512GB SSD(PCI 3.0 x4)を搭載したモデル。ギリギリWindows 11にアップグレードできない世代のノートPCとしては高性能なモデルなので、Windows 10PCからVAIO F14に乗り換えると、少なくともこれくらいは性能が上がるという目安になる。
VAIO FX14 | 比較用ノートPC(2017年製) | |
---|---|---|
CPU | Core 7 150U(10コア12スレッド) | Core i7-7600U(2コア4スレッド) |
メモリ | 32GB(LPDDR5) | 16GB(LPDDR3) |
ストレージ | 1TB SSD(PCIe 4.0 x4) | 512GB SSD(PCIe 3.0 x4) |
内蔵グラフィックス | Intel Graphics | Intel HD Graphics 620 |
OS | Windows 11 Home | Windows 10 Home |
実行したベンチマークテストは、Cinebench R23、PCMark 10 Extended、3DMark。結果は以下にまとめた通りだ。
CPUの演算性能を計測するCinebench R23では、Multi Core性能が約6倍、Single Core性能で約3倍の差がついた。まさにCPUの性能は段違いであることが分かる。
PCMark 10 Extendedの総合スコアでも2倍以上の差が付いている。
各テストのスコアに目を向けると、アプリケーションの起動速度やWebブラウジング関連の処理性能などを計測するEssentials、表計算アプリやワープロアプリの処理性能を計測するProductivityでも大きな差が付いているが、写真や動画編集、3Dレンダリングなどデジタルコンテンツ制作に関わる作業の処理性能を計測するDigital Contents Creationでは特に大きな差だ。
この結果を見ると、Windows 10ノートPCからVAIO F14に買い替えると、あらゆる用途で性能が爆上がりすると言っても過言ではない。なお、VAIO F14のスコアは現行のWindows 11ノートPCの中でもなかなか高い。長く使うという用途にも適している。
FINAL FANTASY XIV 黄金のレガシー ベンチマークも実行してみた。Windows 10ノートPCの内蔵GPUではさすがフルHDの標準品質でもまともにプレイできないスコアだが、VAIO F14の内蔵GPUはフルHDの標準品質では普通にプレイできるスコアとなっている。PCで軽くゲームを楽しみたいという用途にもVAIO F14は使えそうだ。
使い勝手がよい点も魅力
性能が満足のいくものであっても、使い勝手が悪くては意味がない。VAIO F14はその点もよく考えられている。
ディスプレイはフルHD解像度(1,920×1,080ドット)の14型ノングレア(非光沢)液晶。自分自身や背景の映りこみがない上、色の再現性も悪くないため、あらゆる作業を快適に行なうことができる。
キーボードはテンキーなしの87キー日本語仕様。キーピッチが約19mmと標準的で、キートップ(中央部)がわずかにへこんだ形状のため指が吸い付くようにフィットする上、キーストロークが約1.5mmと十分なので、非常に快適に入力が行なえる。ディスプレイを開くと本体奥側が持ち上がり、キーボードに適度な傾斜が付く点も入力の快適性を高めている。
USB PDとDisplayPort(映像)出力をサポートしたUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)対応USB Type-Cポートを2基、USB 3.2 Gen 1(5Gbps)対応USB Type-Aを2基装備、HDMIやGigabit有線LANポートを装備するなどインターフェイスも必要にして十分な仕様となっている。
Windowsや各種WebサービスにパスワードやPINの入力なしでログインできる生体認証機能は「顔」と「指紋」の両方に対応するなど、セキュリティ面もきちんと考慮されている。最近では少なくなったが、マスクをしなければならない場面もまだある。そういう時に指紋で生体認証を行なえるのは便利だ。
持ち歩いて使いたい人にも適している
サイズは幅322.9mm×奥行221.5mm×高さ19.5~19.7mmと14型ノートPCとしては比較的コンパクトで、A4対応かばんに入るサイズ。重量は1.23kgで十分持ち歩ける重さ。常に持ち歩いて使いたい人にも適している。
持ち歩いて使う場合はバッテリ性能も重要。実使用に近いJEITA 3.0測定法によるバッテリ駆動時間(動画再生時)の公称値は約7.7時間。各種オフィス系アプリをバッテリが切れるまで動作させ続けることでバッテリ駆動時間を計測するPCMark 10 Battery Profile-Modern Officeの結果は10時間11分だった。この結果を見ると、外出時に仕事をしたり動画を観たりしながら半日以上は問題なく使えそうだ。
なお、バッテリを100%まで充電するとバッテリの劣化が早まってしまうため、VAIOには「いたわり充電モード」が搭載されている。今回のテストはより現実の使用に近づけるため、いたわり充電モードをオンにして90%まで充電した状態で実行した。
なお、持ち歩いて使う場合、落としたり、何かにぶつけたりする危険が伴う。VAIO F14はそれを想定して、米軍のMIL企画(MIL-STD-810H)に準拠した落下試験や振動試験などをクリアした高い堅牢性を確保している。外部の衝撃により壊れる心配が少ない。それもVAIO F14の魅力だ。
最新のニーズに応じた独自アプリにも注目
最近はオンラインミーティングを行なうことが増えている。それを考慮してVAIO F14にはAIノイズキャンセリングで自分の声を相手に届きやすくしたり、カメラ映りをよくしたりする機能が搭載されており、各種機能は専用アプリで設定できる。
Windows 11 PC選びに迷っているのであればVAIO F14はおすすめ
ノートPCを選ぶ際に重要なのは、自分に必要な性能と機能を見極めることだ。特に明確な使用用途がない多くの人が望むのは、汎用性が高く、長く使えるノートPCだろう。そういう製品をできるだけリーズナブルな価格で入手したい場合は、標準より少し上の性能と機能を持ち、しっかりとした作りの製品を選べばよい。
そういった意味で、多くの人にとってVAIO F14は魅力的な選択肢だ。これまで検証してきた通り、日常使いにほどよい性能と機能を持ち、耐久性も高いため、まさに定番たり得るポテンシャルを持っているからだ。
Windows 10からの買い替えで、Windows 11ノートPC選びに迷っている。そういう人にはVAIO F14はおすすめだ。