ニュース
頑丈、軽量、長時間。レッツノートを研ぎ澄まして完成した「SC」と「FC」
2025年5月27日 17:41
パナソニック コネクトは27日、新型モバイルノート「レッツノートSC」(12.4型、以下SC)、「レッツノートFC」(14型、以下FC)を発表した。これに合わせて都内の同社オフィスにおいて新製品発表会を開催した。
SCとFCは、それぞれ「SR」および「FV」の後継として、CPUをCore Ultraシリーズ2に刷新するとともに、基板やドライバ、ファームウェアに至るまで共通プラットフォーム設計を採用した初の製品となる。詳細に関しては別記事を参照されたいが、この記事では製品発表会の模様をお伝えする。
レッツノートは誰のための製品なのか
発表会の冒頭では、パナソニック コネクト 執行役員 シニア・ヴァイス・プレジデント モバイルソリューションズ事業部 マネージングダイレクターの山本清高氏が挨拶し、新製品を開発した背景について紹介した。
コロナ禍以降、リアル(対面)とオンラインの融合が一般化してきたが、“コロナが明けた”とも言える2023年以降、在宅ワーク、オフィスワーク、モバイルワーク、客先訪問といったさまざまなシーンが多様化し、モバイルノートに求められる要素も変化してきている。
同社は2023年に頑丈、軽量、長時間に応えた「QR」を発売したが、それから2年が経ったこともあり、改めて市場の動向を見直した。具体的には、リアルへの回帰が増加傾向にあるほか、オフィスにおいてはデスクトップPCからモバイルPCに移行しつつある。そしてハイブリッドワークも増加しつつある中、「PCを持ち運ぶ」というのはさらに日常化したという。つまり、持ち運んで使うノートとしては、より頑丈、より軽量、より電池が持つ製品が求められている。
これに加えて、企業の管理者は「OSは同じWindowsなのにハードウェアが異なる」、「多種多様な使い方やデバイスに合わせたトラブルの対応」が求められ、負担が増えている。ここでは、管理者が多様な働き方をサポートする必要生じているため、負担が増している現実がある。そうした負担を減らすようなノートPCが求められているわけだ。
そこでSCとFCでは、まずこれまでレッツノートで培ってきた頑丈、軽量、長時間駆動を「研ぎ澄ます」ことを追求することにした。具体的には、MIL-STD-810H準拠をクリアした堅牢性、頑丈さと駆動時間を高めながら軽量化(SCでは20g、FCは未定)への挑戦、そしてバッテリ増量と徹底した省電力化による長時間駆動を実現している。
一方管理者の負担軽減という意味では、SCとFCは液晶サイズに関係する部品や筐体部品以外はすべて共通のハードウェアを採用し、ドライバ、ファームウェアまで共通化するという設計思想を採用。SCでいったん評価すればFCにも適用できるようにすることで、管理者の導入準備、評価工数の削減を狙ったとした。
どうやって実現したのか
堅牢性や軽量化、長時間駆動の工夫について、同社 モバイルソリューションズ事業部 共通技術統括部 プロジェクトマネジメント部 プロジェクトマネージャーの田中慎太郎氏が紹介した。
まず頑丈性について、新たに動作時76cm/26方向落下のMIL-STD-810Hに準拠させるために、これまで液晶のフローティング構造において四隅だけに保護構造を採用していたが、新たに左右側面も保護するようになったことで強度が大幅に向上したという。
また、筐体の構造体としての強度を増すためにシミュレーションを徹底活用し、リブの活用やビス止めの位置に至るまでを最適化することで実現した。
一方、軽量化についてはマグネシウム合金を採用し、内部構造を工夫した。仮に従来のSRをベースにそのままMIL-STD-810H対応させた場合に、補強で+15g、そしてバッテリ駆動時間増加のための電池容量アップでさらに+17gとなるところ、インターフェイスの最適化(-10g)や新構造(-42g)の採用により軽量化。これによりSRから約20gの軽量化を達成した。
長時間駆動においては、単純に容量を50Whから56Whにアップさせているところだが、バッテリのカバーを薄いアルミニウム素材のものとすることで容積を稼ぎつつ、従来のレバーによる着脱機構の代わりにネジ止めに変更することで、奥行き方向に容積を稼ぎ大容量化できたという。
さらに、バッテリ駆動時に輝度を抑える機能や、使用しながらでも30分充電で約4.6時間使える高速充電機能の実装により、駆動時間を少しでも伸ばす工夫をしている。
SC/FCのプラットフォームの共通化については、基板や冷却機構などを両機種ともに共通化することで達成。同社の資産によれば、導入時で約2人/月、運用時で約4.75人/年の工数が削減できる。これにより管理者の負担軽減を実現するとした。
なお、これ以外にも円形ホイールパッドの大型化、耐久性が向上したレーザー刻印キーボード、押下式になった電源ボタン、摩擦力の高いゴム足の採用、CPU性能を維持する独自の「Maxperformer」、スピーカーの音質改善、梱包材の削減といった工夫を行なったとした。
12.4型が先に発売
最後に、同社モバイルソリューションズ事業部 国内営業総括部ダイレクターの重野敬人氏が、新製品の販売方法などについて紹介。
レッツノートは初代から29年目になるが、法人向けウルトラポータブルPC国内シェアNo.1で、2024年は販売金額が過去最高を記録するなど好調だという。今回の製品によってさらに販売を伸ばす構えだ。
SCとFCはともに同社および販売代理店を通じて法人向けに展開。個人/個人事業主はSCのみ、量販店や直販サイト「Panasonic Store Plus」を通じて販売する。ちなみに同社はこれまで、その時々に最適な異なるCPUを搭載したモデルを展開してきており、そのため両サイズにおいて1年単位でスパンが異なっていたのだが、SC/FC以降は同じCPUを搭載したモデルを同時期に販売する戦略を採り、互換性確保によりIT管理者の評価工数を軽減していくとした。